（オダ　ノブカツ）
永禄元(1558)年〜寛永七（1630）年四月三十日
茶筅丸　又三郎　三介　(北畠)具豊　信意　信雄　常真
侍従　左近衛権中将　大納言　正二位　内大臣



母は生駒氏。三介信雄は信長の次男(信正を含めれば三男)として伝えられているが、弟とされている織田(神戸)三七郎信孝の方が先に生まれている。この件については信孝の紹介の方で触れたいと思う。
永禄十二（1569）年八月、信長の伊勢侵攻の際に伊勢国司であった北畠具教の子・具房の猶子となり、はじめ北畠具豊（ともとよ）、ついで信意（のぶおき）と名乗った。天正二（1574）年の伊勢長島一向一揆殲滅戦では、水軍を率いて参陣している。
天正三（１５７５）年六月に具教から家督を譲り受け、名実共に伊勢国司となる。以後は北畠氏の当主として実父・信長に従い、越前国一向一揆攻めなど各地を転戦した。
天正四（１５７６）年に義父・具教を討って北畠氏を掌中のものとした。
天正七（１５７９）年には信長に無断で伊賀国に侵攻したが大敗を喫し、信長に叱責を受ける。
しかし天正九（１５８１）年に伊賀の平定が成り、そのうち三郡を与えられた。
天正八（１５８０）年、伊勢国松ヶ島城を築き、それを居城とする。
天正十年（１５８２)年、本能寺の変の直後には父・信長の追悼戦のために近江国土山まで軍勢を進めたが、光秀敗死の報を受けて帰国した。この頃に北畠から織田へと復姓していることから、織田家の家督、つまりは信長の後継者となることを目論んでいたことが伺える。
のちの清洲会議においては兄・信忠の遺領のうち尾張国を相続し清洲城主となり、織田家の新当主となった信忠の嫡男・三法師(後の秀信)の後見人として尾張・伊賀・南伊勢の約１００万石を領有した。
天正十一（１５８３）年、着実に天下を狙い始めた秀吉と、あくまで織田家に尽くす勝家との対立が表面化すると秀吉に与し、勝家派の岐阜城の信孝を攻めて降伏させた。
同年の賤ヶ嶽でも秀吉と結んだが、その後は家康と通じ、秀吉との関係を断った。
天正十二（１５８４）年の小牧･長久手には家康と共闘するが戦況は膠着し、結局は秀吉とのに単独講和に応じた。以後は秀吉に属して各地遠征軍に従軍した。
天正十五（１５８７）年の九州征伐ののち正二位・内大臣に進んだ。しかし天正十八（１５９０）年の小田原後北条氏討伐後、関東へと移った家康の旧領へ移ることを拒絶したことが秀吉の怒りにふれて除封とされ、常陸国の佐竹氏に預けられ、剃髪して常真と号した。
その後佐竹氏の秋田転封のときに彼の地へ移ったが、のちに家康の斡旋によって許されて天正二十（文禄元、１５９２）年の文禄の役に際し肥前国名護屋で秀吉に再出仕し、相伴衆に加えられ、大坂天満に寓居した。その後も家康に心を寄せ、慶長五（１６００）年の関ヶ原直前には畿内の情報を家康に送り、大坂の陣の際に豊臣秀頼からの誘いを断るなど、水面下から家康の事業を支え、元和元（１６１５）年に上野国小幡で２万石、大和国松山で３万石を与えられた。
晩年は京都北野に住み、没した。法名は徳源院実巌常真。
能の名手であり、茶人としての素養もあったという。
信雄四男の信良は天童藩織田氏、五男の高長は柏原藩織田氏の祖となる。